今回は、シーンについて軽く触れたいと思います。
シナリオでシーンというと、大抵は「柱」からのひとまとまりを指します。シナリオの書き方によっては、柱のいくつかでひとかたまりのシーンになっている場合もありますので、それはそれで読み替えて考えてください。
とりあえずは「場所や状況などが同じなひとまとまりの部分」と考えておけば問題ないでしょう。
長めのシーンでは、そのシーンだけの起承転結を考えるとシーンのまとまりが良くなります。
とはいえ、シーンというのは起承転結を成立させるにはちょっと長さが足りない場合の方が多いですから、ここは起承転結というよりは4コマ漫画程度に考えておくといいと思います。
シーンはシーンで、きっちり初めて、きっちりしめるということです。
ちょっと専門的な言い方ですが、シーンが変わる前にオチをつけてシーンを変えるか、ツナギで引いてからシーンを変えると、次のシーンへの繋ぎがスムースにいきます。
ここでのツナギというのはヒキとも言われるようですが、ヒキの方は連載漫画での一回分の話のラストについて使われることが多く、やや意味が異なってくるので、ここではツナギと呼んでおきます。別の言い方をすると「場面転換用のギミック」で、例えば「噂をすれば、噂をされた人が次のシーンでクシャミ」というネタです。
すべてのシーンにオチかツナギがなければならないというわけではないのですが、メリハリもなく関連性もないシーンの連続になると、受け手がストーリーに乗れずに置いてきぼりになってしまいます。
また基本的に、「そのシーンがなぜあるのか」というシーンの意味を明確にすることが重要です。
意味を明確にというと何やら難しいですが、要はこのシーンはこれこれこういう目的があって入れてます、と簡単に説明できるくらいのことは考えておくべきです。
上記のことは、あまり意識しすぎても全体の流れがぎこちなくなるので、とりあえずシナリオが一度書き上がってからの自己チェックに使うとよいでしょう。慣れてくれば直感的に全体の流れやリズムを調節できるようになります。
短編の定型としては、まず前半でキャラクターの紹介がてら1つの山を作って小オチをつけ、最初の山が終わった直後からツナギを使って次の山の始まりを出し、そのままクライマックスへ向かってラストのオチをつけ、さらに次の話へのヒキっぽい形を出して終わる、という形がちなみにオチをつけたあと間を置かずにツナギを入れるのは、受け手を退屈させないための常套手段です。
極論を言うと、ストーリーに中身がなくても各シーンが面白ければ作品は成り立ちます。
価値のあるシーンをひとつひとつ積み重ねながら丁寧につなげていくことは、ともすれば面白いストーリーを考えるよりも重要なことです。
2011年09月21日
シーンをつなげ
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2011年09月20日
奪って与えて
しばらく離れていましたが、今回は久しぶりにサンプル作品『召喚定理Fの花ことば』を例に取った話に戻したいと思います。
登場人物の作り方について、また違った角度でのアプローチを紹介します。
とりあえず、簡単に主要登場人物のおさらいです。
○貴浜クビキ(たかはまくびき)
女性。高校1年。召喚魔法研究会所属。
虚弱体質。
○負座カムリ(ふざかむり)
女性。転校生の高校2年。スポーツ万能。
クビキと双子の姉妹だが、別人。
○集イラクサ(つどいいらくさ)
男性。38才。物理学者。カムリの保護者。
16年間、クビキを探していた。
○賀残コト(がざんこと)
女性。高校1年。クビキの友人。
政府機関から命を受け、クビキを監視している。
さて、短編では特に、登場人物には物語上の明確な「役割」が必要です。
上の設定には何も書いてはいませんが、基本的な役割は振り分けてあります。粗筋の中でもそれは表現するようにしていましたので、あとで確認してみるといいかもしれません。
登場人物たちの、ストーリー(状況)へ関わり方の違いは、以下のようになります。
クビキが、ストーリーを感じ、行動します。
カムリは、ストーリーの中心にいます。
イラクサが、ストーリーを進めます。
コトは、ストーリーを補強します。
細かいところをはしょりすぎていて、ちょっとわかりづらいかもしれません。
短編で大事なのは、まずは物語の中心がぶれないことなので、こういうシンプルなキャラクターの役割の分担になります。
物語によっては、カムリのところは物になったりします。魔法の剣であったり財宝であったり伝説であったり、というところです。
サンプル作品のイラクサは、つまり悪役として物語を進めます。主役のクビキではなく、敵役となるイラクサが行動的というパターンです。
例えばイラクサもカムリと同じように、他の物でも代用が可能です。
例えば襲ってくる嵐やスポーツの勝負、また主人公の恋心や強い望みなどです。つまり、物語を回転させる原動力となる物であれば良いわけです。
コトについては、簡単な舞台設定や筋立ての場合は、あまり必要のない役割を持つキャラクターです。サンプルがSF的な作品なのに加えて、主人公のクビキが消極的な設定なので、この作品ではコトの役割は必須になります。
他に、主人公以外のキャラクターの役割において大事なことは、
「主人公に何を与え、また、何を奪うのか」
という「与奪」についてです。
それぞれのキャラクターについて書くと、
カムリは、愛情を与えます。
イラクサは、カムリを与え、カムリを奪います。
コトは、友情を与え、信頼を奪います。
通常、与えるものが大きければ大きいほど、奪うものが大きければ大きいほど、そのキャラクターの存在感は増します。
逆に大したものを与えず奪わないキャラクターは、必要のないキャラクターです。短編では邪魔なので、名無しのキャラクターにでも
ランクを落とすか、思い切ってカットしてしまうのがいいかもしれません。
与えて奪う、奪って与える、どちらを取るかはさておき、与奪の一方ではなく両方を意図することで生み出されるギャップは、演出として効果的に働きます。
また例えば、日常が舞台となる作品では、与奪されるものを日常的な感覚に沿わせる必要があります。
部活のレギュラーとか、誰かとつきあうかどうかとか、イベントが成功するかどうかとか、日常的な獲得と喪失や、成功と失敗といったものになるでしょう。
役割については、ある程度がパターン化されているので、実際はあまり悩む必要がないように思います。逆に、パターンにはまりすぎているときに役割をずらしたりといった場合の方が多いかもしれません。
与奪については、意識することでキャラクターの存在の弱さを確認できます。特に、奪うことについては意外と思いつかない人が多いので、物語を作り慣れていない人は、少し気にしてみると良いかと思います。
登場人物の作り方について、また違った角度でのアプローチを紹介します。
とりあえず、簡単に主要登場人物のおさらいです。
○貴浜クビキ(たかはまくびき)
女性。高校1年。召喚魔法研究会所属。
虚弱体質。
○負座カムリ(ふざかむり)
女性。転校生の高校2年。スポーツ万能。
クビキと双子の姉妹だが、別人。
○集イラクサ(つどいいらくさ)
男性。38才。物理学者。カムリの保護者。
16年間、クビキを探していた。
○賀残コト(がざんこと)
女性。高校1年。クビキの友人。
政府機関から命を受け、クビキを監視している。
さて、短編では特に、登場人物には物語上の明確な「役割」が必要です。
上の設定には何も書いてはいませんが、基本的な役割は振り分けてあります。粗筋の中でもそれは表現するようにしていましたので、あとで確認してみるといいかもしれません。
登場人物たちの、ストーリー(状況)へ関わり方の違いは、以下のようになります。
クビキが、ストーリーを感じ、行動します。
カムリは、ストーリーの中心にいます。
イラクサが、ストーリーを進めます。
コトは、ストーリーを補強します。
細かいところをはしょりすぎていて、ちょっとわかりづらいかもしれません。
短編で大事なのは、まずは物語の中心がぶれないことなので、こういうシンプルなキャラクターの役割の分担になります。
物語によっては、カムリのところは物になったりします。魔法の剣であったり財宝であったり伝説であったり、というところです。
サンプル作品のイラクサは、つまり悪役として物語を進めます。主役のクビキではなく、敵役となるイラクサが行動的というパターンです。
例えばイラクサもカムリと同じように、他の物でも代用が可能です。
例えば襲ってくる嵐やスポーツの勝負、また主人公の恋心や強い望みなどです。つまり、物語を回転させる原動力となる物であれば良いわけです。
コトについては、簡単な舞台設定や筋立ての場合は、あまり必要のない役割を持つキャラクターです。サンプルがSF的な作品なのに加えて、主人公のクビキが消極的な設定なので、この作品ではコトの役割は必須になります。
他に、主人公以外のキャラクターの役割において大事なことは、
「主人公に何を与え、また、何を奪うのか」
という「与奪」についてです。
それぞれのキャラクターについて書くと、
カムリは、愛情を与えます。
イラクサは、カムリを与え、カムリを奪います。
コトは、友情を与え、信頼を奪います。
通常、与えるものが大きければ大きいほど、奪うものが大きければ大きいほど、そのキャラクターの存在感は増します。
逆に大したものを与えず奪わないキャラクターは、必要のないキャラクターです。短編では邪魔なので、名無しのキャラクターにでも
ランクを落とすか、思い切ってカットしてしまうのがいいかもしれません。
与えて奪う、奪って与える、どちらを取るかはさておき、与奪の一方ではなく両方を意図することで生み出されるギャップは、演出として効果的に働きます。
また例えば、日常が舞台となる作品では、与奪されるものを日常的な感覚に沿わせる必要があります。
部活のレギュラーとか、誰かとつきあうかどうかとか、イベントが成功するかどうかとか、日常的な獲得と喪失や、成功と失敗といったものになるでしょう。
役割については、ある程度がパターン化されているので、実際はあまり悩む必要がないように思います。逆に、パターンにはまりすぎているときに役割をずらしたりといった場合の方が多いかもしれません。
与奪については、意識することでキャラクターの存在の弱さを確認できます。特に、奪うことについては意外と思いつかない人が多いので、物語を作り慣れていない人は、少し気にしてみると良いかと思います。
posted by 神足 at 23:49| Comment(0)
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2011年09月19日
漫画原作を作ってみよう その12
さて、今回は長くなることを恐れず、シナリオを構成する際の具体的なテクニックをひとつ、紹介したいと思うので、おつきあいをお願いします。
技術としての呼び名はあると思いますが、私が勝手に『迷い猫のトリック』と名づけてみたものです。
サンプルに使う物語は探偵モノです。
優秀な探偵に、ちょっと不器用な助手一人をつけます。
舞台は、お約束のお金持ちの館です。
探偵がその館を訪れているとき、お金持ちの館の主人が殺されてしまいます。
主人といつも一緒にいた猫が、同時に行方不明になります。
探偵は捜査に乗り出しますが、助手は館のメイドさんに迷い猫を探すよう懇願されて、探偵に迷い猫の捜索を命じられます。
普段から自分が探偵の役に立てているのか悩んでいた助手は、事件の捜査からはずされて猫を探させられることに落ち込みます。
探偵は捜査を進めますが、犯人はなかなかわかりません。
助手は悩みながらも、ついに猫を探し出します。
その猫をテコとして、探偵の謎解きタイムの始まりです。
さて、物語のあらましは以上です。
どこがテクニックでしょうか?
ひとまず先に、謎解きシーンを書きます。
-------------------->
■主人の書斎
関係者がすべて集まっている。
探偵、庭師に向かい話し始める。
探偵「庭師さん、手の怪我は治りましたか?」
庭師「え……、ええ、もうほとんど」
探偵「そうですか。まぁ、猫にひっかかれた傷ですからね」
ざわつく。
メイド「猫って、あの」
猫、大人しくメイドに抱かれている。
探偵「ええ、その猫です」
庭師「な、何を言ってるんだあんた」
探偵「ご主人が犯人と争った形跡があったので、ご主人の爪から
検出された犯人のものと思われる皮膚片との照合のために、
皆さんはDNAのサンプルを提出しましたね。残念ながら皮膚片と
思われたものは全て空振りだったわけですが――」
助手「……?」
探偵「庭師さん、あなたはいつも仕事をするときは長袖を着て、
手袋をしています。でも私が最初に手の怪我についてたずねた
ときにあなたは言いました。『枝にひっかけて』とね」
庭師「て、手袋をしていないときだったんだよ! それだけのこと
だろ!」
探偵「そうですか。では、ひとつお聞きしたいのですが――警部」
探偵、その先を警部に譲る。
警部「猫の爪に残っていた血液から、庭師さん、あなたのDNAが検出
されました」
庭師「は……!?」
探偵「猫は、ご主人の隠し金庫の中から見つかりました。ここにいる
誰一人として、いや犯人以外は存在をしらなかった金庫です。猫は
脚の骨にヒビが入っているそうですよ。おそらく犯人に爪を立てて、
怒った犯人に無理矢理金庫の中に入れられたのでしょう。が、
事件後金庫の詰め込まれていたおかげで歩くこともできず、
結果的にDNAの採取ができた」
庭師「そんな……」
探偵「――もうおしまいなんですよ、庭師さん」
探偵、庭師をじっと見すえる。
<-------------------
以上です。
多少細部が荒いのは、サンプルですので流していただければと思います。
この物語自体の主役は探偵です。ただし、この話の内容を見る限りでは、逸話の主役は助手になると思います。
ストーリーの構造も、殺人事件のメインラインと、猫探しのサブラインの2本で構成されています。
殺人事件と迷い猫という2つの命題があり、その2つのラインが一旦は別れ、最後に1つになって問題が解決するわけです。
2つのラインを同時に動かすことで、構造上の多面性がでますし、物語の厚みを増すことができます。
そして、猫を探すという殺人事件においてはどうでも良さそうに見えることが、実際は謎解きに直結しているという、逆転の面白さを作り出すこともができます。
ポイントは、まず主人公ではないキャラクターが主役となる逸話としてサブラインを作ることです。
とにかく脇役にでも敵役についてでもいいので、ストーリーの重要部に必ず絡むような形での逸話を、メインの部分以外で動かします。
このパターンはいわゆる伏線とも少し似ていますが、ちがいます。
伏線ではなく、完全な二重構造です。もうひとりの主役が確実にいます。漢字が違って、「副線」ですね。
問題は、サブラインに全部持っていかれてしまうリスクがあることです。その辺りはちゃんとしたコントロールが必要になります。
わかりやすくいうと、脇役はあくまでも脇役で、おいしいところは必ず主役が持っていけ、ということです。
最後に、物語のしめの小オチを書いて終わりにしたいと思います。
-------------------->
■車中
探偵と助手、車で帰路にある。
助手「ええっ、嘘だったんですか!」
探偵「当たり前だろ。でまかせ。場のノリだよノリ」
助手「ノリって……」
助手、絶句。
探偵「猫はきれい好きだからね。血なんてものがついてたら、さっさと
きれいに舐めてしまうよ」
助手「そうか……」
探偵「庭師さんは最初からグレーだったけど、残念ながら、彼の犯行は
完璧だった。……猫のこと以外はね。で、結局はハッタリしかなく
てね。警部に一枚かんでもらったんだよ」
助手「よくうまくいきましたね……」
探偵「役者が違うさ。でも偶然とはいえ、よくあの金庫を見つけ
られたよ。お手柄だったね」
助手「……」
助手、嬉しくて黙る。
探偵「正直僕は優秀だけど、ひとりではできないこともある。これからも
よろしく頼むよ」
助手「は、はいっ!」
<-------------------
posted by 神足 at 00:00| Comment(0)
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